とあるレンジャーの休日
「歩。でも俺、紫乃の2コ下だよ」
若い子扱いされているのが明らかだったせいか、歩がそう付け加えた。
すると清水は案の定、驚いた顔をして言う。
「マジか? ハタチぐれぇに見えるな」
紫乃は思わず横で笑ってしまい、歩に軽く睨まれた。
「よく言われるんだよね。階級章付けてなかったりすると、最悪だよ」
「歩は、顔も綺麗だしね」
彼は複雑な表情を浮かべ、自分の頬を撫でた。
再びカウンターの中に入った清水は、二人に冷たいお茶を出して訊ねる。
「そういや昼間、中野のばあちゃんとこ、救急車来てたろ。紫乃ちゃん、なんか知ってるか?」
紫乃は顔色を変え、小さく頷いた。
「実は、さっきまで病院に付き添ってた」
「え。何があった? ばあちゃん、無事か?」
「無事、なのかな。とりあえず峠は越えたけど……」
気持ちがまた急速に沈んでいく。
紫乃は昼間の疲れをどっと感じ、肩を落とした。