とあるレンジャーの休日
紫乃は身体もそうだが食も細く、あまり体力があるようには見えない。
買い物とバイト以外で外に出ることもなさそうだし、たまに空いた時間は本などを読み、動かないことのほうが多かった。
(その割に、仕事量は多いんだよな)
歩が見る限り、彼女は朝から晩まで、ひっきりなしに働いている。
家事と診療に追われ、時間が空くのは夕方のわずかなひとときと、夜、そして日曜日だけだ。
たしかに紫乃の言うとおり、この状態のままでは、歩が部隊に戻っても、ろくに会う時間も取れない可能性が高い。
元から自衛隊員の勤務というのは不規則だ。
何かあれば緊急で呼び出されたり、長期でどこかへ派遣されることもある。
転勤も多いし、結婚しない限りは、遠距離かそれに近い状態になりやすかった。
(結婚……)
本当に一緒にいたいなら、それが唯一に近い解決方法だろう。
だが、いくらなんでもそれを考えるには早すぎる。
「そもそも、まだ付き合ってねーよ」