とあるレンジャーの休日

 歩は一人心の中で葛藤し、もしもバレて嫌われたりしたら困るという気持ちがわずかに上回った。
 彼女に触れたい欲求を持て余しながら、歩は布団を頭から被る。

(明日のデートでなんとかするっ)

 せっかく同じ部屋にいるのに、今度は違う理由で眠れなくなりそうな気がした。
 歩は嫌な予感に苛まれながらも、煩悩を懸命に追い払うため、布団の中でギュッと目をつむった。




   *




 日曜日でも、紫乃は平日と変わらない時間に目が覚めることが多い。

 その日も同じで、ベッドの下を見れば、頭まで布団を被った歩がまだ寝ていた。
 紫乃は起こさないよう、静かに布団から這い出る。

 階下でトイレと洗面を済ませ、着替えをどうしようかと考えていたら、ちょうど歩が、寝ぼけ眼のまま階段を下りてくるのが見えた。

「おはよう、歩」

「んー……おはよ、紫乃」

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