とあるレンジャーの休日
「落ち着け、紫乃。検査してみるまではまだ分からん。俺も歳だ。問題の一つや二つ、いつ見つかってもおかしくはない」
歩も隣にしゃがみ込み、彼女の背中を撫でながら、清二郎に訊ねた。
「じいちゃんって、いくつなの?」
「77だ」
「マジ? 元気だなぁ」
たった今、検査の結果がよくないという話をしたばかりで、そんなことを言う歩に、清二郎は笑った。
「そうだろう。もう喜寿だ。ここまで何もなかっただけ、充分褒められたもんだ」
紫乃は唇を噛んだまま、清二郎を睨む。
「黄疸は出てないよね。薬で誤魔化すって……数値は、ずっと悪かったの?」
「大したことはなかった。だがここらで一回、ちゃんと調べとくかと思ってな」
紫乃が見る限り、そんな気楽に構えていられる数値ではなかった。
本人も自覚があるから、精密検査を受けると決意したのだろう。
であれば、彼女に今言えることは、何もない。