とあるレンジャーの休日
「午後は休診にするしかないかな」
隔日だが、平日の午後は駐屯地でのバイトもあった。
そちらも急な代わりは見つけられないし、ここの診療所が混むのは、午前中と夜の時間帯だ。
「よし。おじいちゃんに相談して、朝ごはんも食べて。今日こそ、歩の話も聞かなくちゃ」
するべきことが頭の中で整理され、気持ちが切り替わった紫乃は、勢いをつけて立ち上がる。
(クヨクヨしてる時間はない!)
紫乃は急いでパジャマを脱ぐと、さっさと着替えて、足早に階段を駆け下りて行った。
朝食と洗濯を終えた紫乃は、歩と一緒に買い物へ出た。
いつも通り自転車に乗る彼女の横を、彼がトレーニングを兼ねて伴走する。
スーパーでは、歩が買い物カゴを持ち、紫乃の後をついて来た。
「あー! 紫乃っ、俺、これ食べたい」
「何?」