とあるレンジャーの休日
「私はほら、宗春から聞いたから。あの子ね、ここのところずっと機嫌が悪いの。紫乃ちゃんを取られるんじゃないかって、心配してるんだと思うけど」
「取られる……?」
今度は紫乃が首を傾げる番だった。
おばさんは気にせず、歩の方を見て訊ねる。
「ところで。あなた、いくつなの? 随分若く見えるけど」
歩はニコニコしながら、明るく答えた。
「27です」
「ええ~っ! じゃあ紫乃ちゃんと、そんなに変わらないじゃないの」
おばさんは改めて歩と紫乃を見比べ、また微妙な表情に戻って呟いた。
「いつまでもグズグズしてるから、こういうことになるのよね。あの子に電話してお尻ひっぱたいてやんなきゃ」
「……おばさん?」
紫乃が怪訝な顔をすると、彼女は慌てて固い笑顔を浮かべた。