とあるレンジャーの休日
「迷惑かけて、すみませんでした」
一眠りする前とは別人かと思うほど元気だ。
彼が寝ていたのは、ほんの一時間程度。
にもかかわらず、脅威の回復力だと思う。
感心する紫乃の横で、塚本が人当たりの良い笑顔を浮かべて言った。
「宮園(みやぞの)。今日から君は、ここにいる紫乃先生の家に泊まること。話はつけといたから」
(宮園……?)
紫乃は自然とベッドの上にいる彼の方を見る。
すると彼もまた、紫乃の顔を見上げて呟いた。
「しの先生?」
そういえば、互いに名前も知らなかったと気付き、紫乃は頷いて見せる。
「戸ヶ崎紫乃、だよ。君は?」
「宮園歩(あゆむ)、です」
顔だけでなく名前も可愛いのかと紫乃は思った。
だが、さすがにそれを口に出したりはしない。
彼――歩は、戸惑いも露わに、塚本の方を見た。