とあるレンジャーの休日
「ブレないね、紫乃。そういうとこも面白いけど」
「引かない?」
「全然。むしろ歓迎」
紫乃は内心ホッとしつつ、歓迎するのもどうかと考える。
「人に見られるのって、抵抗ないの?」
「あるよ。歓迎するのは、紫乃だけ」
「ああ……そう」
途端に照れくさくなり、紫乃は横を向いた。
歩はおかしげに笑いながら、メニューを差し出す。
「そろそろ決めない?」
「そうだね」
紫乃はようやくメニューを手に取り、料理の写真に目を落とした。
ふと視線を上げると、待ち構えていた店員が「お決まりですか?」と訊ねながら寄ってくる。
「ああっ、もうちょっと待って!」
焦る彼女を見て、歩はまたクククと楽しげに笑った。