とあるレンジャーの休日

 そう呼びかけられ、彼女は目を丸くしながらも、声を張り上げる。

「すごい、歩! めちゃくちゃ格好いい! 特に腹斜筋がっ!!」

 彼は「そこかよ」と言って笑い、ちょうど二階くらいの高さから、無造作にひょいと飛び降りた。下は分厚いフカフカのマットが敷いてある。
 歩は嬉しそうな顔で、紫乃の前まで走ってきた。

「どう? 惚れ直した?」

 そんなことを冗談ぽく訊かれ、紫乃は首を捻る。

「なんであらかじめ惚れてる前提なの?」

「じゃあ、惚れた?」

 めげない歩に、紫乃は思わず吹き出した。

「うん。ほれぼれした。やっぱり歩の身体、最高」

 彼はガックリした様子を見せ、紫乃は笑いながら、こう付け加える。

「惚れ直した」

「えっ」

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