とあるレンジャーの休日
建物の外に出ると、モールの広い敷地内には、芝の敷かれた緑の広場が広がっている。
日曜日ということもあって、そこにいるのは小さな子ども連れの家族が中心だ。
中にはカップルや、小中学生の友だちグループなどもいて、晴れて空気のカラッとした気持ちのいい秋空の下、のんびりとした穏やかな雰囲気が漂っていた。
歩は外に出た途端、うーんと大きく伸びをする。
そして今度は肩を抱くのではなく、紫乃の手を取って歩き出した。
手を繋ぐのも、家の近所みたいな街中では妙に恥ずかしいけれど。
こうして青空の下、だだっ広い芝生の広場では不思議と、ごく自然なことに感じられた。
「ねえ、歩」
紫乃は、今日の目的の一つを思い出して口を開く。
「なに?」
「お兄さんのこと聞いてもいい?」