とあるレンジャーの休日
「うちは構わないよ。どうするかは、あなたが決めて」
そう振ったら、歩はほんの少しだけ迷った後、再び紫乃を見上げて言った。
「お願いします」
――決断が早い。
彼の反応を、紫乃は気に入った。
そしてもう一つ、とても気に入ったことがある。
「おお……紫乃先生のお眼鏡にかなうとは。宮園くん、なかなかやるね」
薫子が感心しながら、歩にそう声をかけた。
歩は怪訝な表情を浮かべて、「お眼鏡?」と問い返す。
「紫乃先生はね、無類の筋骨好きだから。骨と筋肉にはうるさいよ~。愛しすぎて、整形外科医になっちゃうくらいだからね」
「こら、薫子! 人の本性をいきなりバラすな」
紫乃は横にいる彼女を軽く睨みつけ、薫子はえへへと笑って誤魔化す。
そう――先ほど塚本が言った通り、そういう視線で歩を見てみると、彼はなかなかに良いモノを持っていた。
癖のない骨組みに、一切の無駄がない筋肉。
ふとした動きにも、常時鍛えられている雰囲気が漂っている。
――これはたしかに、目の保養だ。