とあるレンジャーの休日
血がのぼり、よく回らない頭で、紫乃は必死にこの状況を脱しようと、もがき続ける。
するとようやく少しだけ、歩の腕の力が緩んだ。
「じゃあ、誰もいないところに連れ込めばいいの?」
「そんなこと言ってないでしょ!」
都合よく言質を取ろうとする歩を、紫乃はジッと睨みつける。
彼は軽くため息を吐いて、腕を広げた。
「手強いなあ、紫乃は」
「歩は、時と場所を選ばなすぎでしょ!」
すかさず反論すると、歩も不満げな顔をして返す。
「だって今日、デートじゃん。イチャイチャするのに、これ以上適した時、ある?」
「そっ、それは……」
何か言いくるめられている気がしないでもない。