とあるレンジャーの休日
紫乃が目を剥くと、歩はおかしそうに笑った。
「なんてね。冗談。同意なしに、そういうことしないって約束したもんな」
(冗談なんかじゃない、絶対)
紫乃が彼をジトッと睨めつけたら、歩は笑顔のまま、こう言った。
「あと少しで分かりそうなんだ、兄貴の出した問題の答え。それに紫乃のおかげで、しっかり眠れてるし、気持ちも落ち着いてる。心配しなくても、すぐに付き合えるって」
そう言われ、紫乃は一瞬ホッとしかかって、即座に顔をしかめた。
「ん? いや、私の心配はそこじゃなくて」
「あ〜、早く紫乃と思いっきりイチャイチャしてえなあ」
「あのね……」
のんびり構えている歩の様子を見て、紫乃もなんだか気が抜けてしまった。
彼だって馬鹿じゃない。
そこまで長い猶予があるわけじゃないことは、分かっているはずだった。