とあるレンジャーの休日

 それらをジッと眺めて、歩は嬉しそうに笑う。

「俺、こういう感じ好きだよ」

 彼はそう言って、紫乃の頬にチュッと口づける。

「ちょっと!」

「いいじゃん、これくらい」

「だから、時と場所を選びなさいってば――!」

 隙あらばスキンシップを図ろうとする彼を、紫乃は赤くなりながら睨んだ。
 歩は怒られているのにニコニコして、全く気にした様子はない。

(どうしよう)

 これ以上は深入りしないようにと思っていたのに、向こうからどんどん距離を詰められている。
 ――それがまた、イヤじゃないから困るのだ。

 甘えられるのは、正直嬉しい。
 そうしたくても、自分からは上手く出来ない性格だと分かっているから。
 向こうから来てくれれば、こちらから確かめるまでもなく相手の好意は伝わってくる。
 それも、一種の甘えなのだろうとは思うけど。

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