とあるレンジャーの休日

「本性っていうか、紫乃ちゃんのそれは、性癖だよね。俺もそれでフラれたし」

 塚本がそう言って、わざとらしく嘆いて見せる。
 紫乃はすかさず言い返した。

「あんたは、適当さが肉に現れてんだよ。なんでもそこそこやっときゃ、それでいいと思ってるでしょ」

「だって、実際上手くやってるし」

「そう思ってんのは、あんただけだよ!」

 紫乃が言い切ると、歩がブッと盛大に噴き出した。
 そして、そのまま腹を抱えて笑い出す。

「おもしれー、紫乃先生……」

「でしょ! 紫乃先生いいでしょう」

 なぜか薫子が自慢げに相槌を打つ。

 歩はひとしきり笑ってから、紫乃の目を見つめて訊ねた。

「俺の肉は、お眼鏡にかなったんですか?」

 紫乃はもう一度、真剣な表情で歩の全身を眺めてから、頷く。

「とてもいい。そのまま標本にしたいくらいだ」

< 24 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop