とあるレンジャーの休日

「歩、どこ行くの?」

「んー、今探してる」

「は?」

 行きたい店でもあったのだろうか?
 それにしては、やけに唐突だったけど。

「ああ〜、でもここじゃ無理かな。死角が出来ないような設計になってるんだろうし」

(死角……? それって人目につかない場所ってこと?)

 紫乃は、歩の考えていることがなんとなく分かって足を止め、引かれていた手を振りほどいた。

「ちょっと。なに考えてるの?」

「なにって、誰にも見られない所で、今度こそキス……」

「わーっ!」

 紫乃は咄嗟に叫んで、歩の言葉を遮った。
 誰かに聞かれたりしたら、恥ずかしすぎて死ねる!

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