とあるレンジャーの休日
紫乃は諦め半分にため息を吐き、ボソリと呟いた。
「好きだけじゃ続かないよ。私、こう見えて結構重いし」
「重い?」
「嫉妬深いし、口うるさいし、束縛激しい……かも。今は四六時中一緒にいられるから、何も言わないだけで」
歩は真顔でこちらの顔をジッと覗き込んでくる。
「離れたら、不安になる?」
そう聞かれ、紫乃は黙って頷き返した。
それを見た歩は、苦笑いを浮かべて言う。
「紫乃に束縛されるなら大歓迎だけどね。でも不安にさせとくのは、俺も嫌だなぁ」
彼は再び紫乃の手を取り、今度は駅の方に向かって、ゆっくり歩き出した。
紫乃は、歩の表情を横から窺う。
彼は微笑みを浮かべたままで、機嫌は変わらず良さそうだった。