とあるレンジャーの休日

「俺と付き合う? 別れるとか言わない? これからのこと一人で決めないで、ちゃんと二人で話し合う?」

 立て続けに問われる。
 紫乃は息苦しさから解放され、大きく息を吐きながら、渋々頷いた。

「……こんな面倒くさい女がいいなら、好きにすれば」

「やったーっ! 一歩前進!」

 再びギュッと抱きしめられ、紫乃は「苦しいっ」と呻く。

 歩のこの根気とパワーは、一体どこから来るのだろうか。
 紫乃は、自分にはとても太刀打ちできそうにないと思い、肩を落として再び大きく息を吐いた。





 二人はモールを出て電車に乗り、おばあちゃんの入院している病院に向かう。

 歩は、繋いだ手を大きくブンブン振りながら歩き、見るからに浮かれた様子だ。

< 245 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop