とあるレンジャーの休日
歩はギョッとした顔をして呟いた。
「標本……? 性癖じゃなくて?」
「マニアの愛は、性癖とそう変わらない」
「自分で言っちゃうんだ、それ」
何を想像したのか、歩は全身をブルリと震わせて、また紫乃の目を楽しませた。
一緒に帰っていいと塚本が言うので、歩は今いる隊舎に、荷物を取りに行った。
14時半を過ぎて、新たな患者が来る気配がなかったから、薫子は早々に片付けを始めた。
シーツの交換や、使った道具の洗浄や滅菌だ。
針などは当然使い捨てだが、器具類は自分たちで手入れをする。
ここに余分な予算はかけられない。
紫乃はその隙に、今日診た患者のカルテをまとめて記録していった。
しばらくして、歩が戻ってくる。
紫乃は、その私服姿を見てほうっと息を吐いた。
(理想的……)