とあるレンジャーの休日
「ええ? でもおじいちゃん、内科医だよ?」
すると、歩がプッと噴き出し「さすが、じいちゃん」と言って笑った。
紫乃は、半分冗談だろうと思いながらも、歩の顔を見て、つい一緒に笑ってしまう。
それを見て、吾郎は満足げに微笑みながら立ち上がった。
「酒も入ったから、今日はゆっくり寝られるだろ。明日から頑張れよ、紫乃」
「うん……ありがとう、父さん」
「ごちそうさん」
そう言って手を振り、離れの道場上にある自室へ向かう背中に、紫乃は「おやすみなさい」と声をかけた。
残された紫乃と歩は、なんとなく目を見合わせ、微笑み合う。
片付けをしようと立ち上がったら、視界がクラリと揺れ、紫乃は咄嗟にテーブルに手をついた。
「どうした?」
すぐに気付いた歩が、素早く紫乃の腕を掴んで支える。