とあるレンジャーの休日

「いや、いい。俺もそう思ってたから」

「は?」

「まずは、眠れるようにならないとな」

 紫乃は首を傾げつつも頷き、立ち上がって、隣の部屋へ向かう歩を見送った。

「眠れなかったら、戻ってきていいよ」

 ドアの前で立ち止まり、そう言ったら、歩は複雑な表情で呟いた。

「どっちにしろ、眠れなさそう」

「ん?」

「おやすみ、紫乃」

 ふと、歩の顔が近付く。
 まだお酒が残っていたせいか、単に油断していたからか。
 唇が触れ合ってしまった後に、紫乃は驚き、目を見開いた。

「また……」

 紫乃は頬に熱を感じ、歩を睨みつつ、文句を言う。

< 258 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop