とあるレンジャーの休日

「同意なしでするの、何度目?」

「んー、嫌?」

「嫌とかじゃなくて……」

「じゃあ、もう一回」

 歩が吐息混じりに囁き、鼻先がかすった。
 そして再び、柔らかい唇が触れる。

 今度は紫乃も目をつむり、その感触を静かに受け入れた。

 唇が離れて、紫乃は歩の整った顔を至近距離でジッと見つめる。
 そして、なぜかふと、彼と一番最初に出会った時のことを思い出した。

 ――いきなり触れようとした紫乃の手を払った歩。
 警戒心を露わにした、あの野性的な眼差し。

 でも、今の彼はとても優しくて甘い目をしている。

(どっちも好き……)

 自然にそう思い、紫乃は笑って、歩の頬に自分から口づけた。

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