とあるレンジャーの休日
そして静かに考える。
兄が辞めてからずっと、頭から離れなかった迷い――
何が正しいのかわからないまま、自分はいつまで自衛官としてやっていけるのか。
迷いを抱えたまま、あそこに戻っていいのか。
いざという時、迷わずに答えを出せる明確な判断基準。
それを歩は掴みたくて、でも掴みきれずにいた。
(どうしたら答えが出る? そもそも、答えなんて本当にあるのか……?)
すぐそこにありそうで、何度も手を伸ばすのに掴めない。
歩は呼吸が落ち着いてきたのを感じ、大きく息を吐く。
(今、俺が一番守りたいのは、紫乃だ)
でも、このままでは守られるばかりで、彼女に何もしてやれない。
まず必要なことは、自分をしっかり立て直して仕事に復帰すること。
それから、紫乃となるべく離れずに済む方法を考えること。