とあるレンジャーの休日
国を守るのが自衛官の使命。
国を守るとは、領土と権利、そしてそこに住む人々の命と生活を守ることだ。
それには当然、自分にとって大事な人たちも含まれる。
もちろん、紫乃も。
でも本当の意味で彼女を守ろうと思ったら、それだけじゃ足りない。
傍にいて、困ったときは手を差し伸べて、支え合う。
そうするためには、まず自分が無事に生きて帰ること。
(多分、そのあたりが境界線だ)
職務の完遂と自分や仲間の命を天秤にかける瞬間――自衛官とはそういう場面に遭遇する可能性のある仕事。
その瞬間はきっと、ある時突然やって来て、迷っているヒマもなく選択を迫られるのだろう。
だからこそ自分の中にブレない基準が欲しい。
(納得できる答えが知りたい)
これまで何度もしてきた自問自答を繰り返しながら、歩はやはり寝付けずに、考え続けた。