とあるレンジャーの休日
ふと、歩は考える。
もしかして、身体を鍛えることを止めたら俺、即座にフラれる……?
起きて朝食を取ったら、すぐに走りに出よう――歩はそう思い、後はいつ起き上がろうかと、しばらく寝たフリをしながらタイミングを窺っていた。
*
紫乃は朝食の支度が済んでからソファに近づき、寝ている歩の肩を軽く揺すった。
清二郎は大学病院の予約が朝イチだからと言って、とっくに家を出ている。
吾郎はダイニングで二人を待たずに食べ始めていた。
紫乃は今日、診療をいつもより早めに始めたかったので、少々可哀想だと思いながらも、彼を強引に起こしにかかる。
「おーい、歩。ごはん出来たよ」
すると、肩に置いた手をいきなりキュッと掴まれて驚き、目を丸くした。