とあるレンジャーの休日



 紫乃が洗い終わった洗濯物を抱えて二階に上がろうとした時、ちょうど買い物に出るために玄関で靴を履く歩と鉢合わせた。

「買い物、行ってくるね」

「うん。よろしくお願いします」

「あのさ……」

「ん?」

 何か言いかけた歩を見て、紫乃は首を傾げる。
 すると彼は手招きをし、顔を近づけてきて、耳元で囁いた。

「帰ってきたら、ご褒美ちょうだい」

「……ご褒美?」

 なんだろう――何か欲しいの?

 紫乃が目で問いかけたら、歩はニッと笑って後ろに下がりながら答えた。

「何か一つ手伝うごとに、キス一回」

< 273 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop