とあるレンジャーの休日
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今日はいつもより30分早く診療を始めた。
週明けの月曜日は、患者さんも早く来て待っているから、特に問題はない。
だが、いつもは祖父と二人で診ている患者を一人で受け持つのは、さすがにしんどかった。
30分程度早く始めたところで、休んでいるヒマはこれっぽっちもない。
買い物に行ってくれた歩のおかげで、洗濯や昼食の支度などの家の用事は、あらかた済ませてくることができた。
あとは、ただひたすら集中して、患者を捌いていくだけだ。
その時受付の向こうから、やたらと大きなダミ声が聞こえてきた。
「ええーっ、じいさん先生いないの? じゃあ誰が診てんだよ。……あ? 孫娘? 冗談だろ」
威嚇するような男性の声。あのボリュームでは、待合室にいる患者が怯えてしまうだろう。
紫乃は診察の合間だったため、即座に立ち上がり、廊下に出る。
受付からは、まだ文句を言う声が聞こえてきた。