とあるレンジャーの休日
「じいちゃんは何してる人?」
「内科医だよ。でも何でも診ちゃうけど。うちは自宅の一階半分が診療所で、残りと二階が住居になってる」
「お母さんは?」
「基本いない。NGO活動で海外にいるから。半年に一回帰ってくれば良い方」
歩はポカンと口を開け、「はあぁ」と声を上げた。
「紫乃先生の家族、すげえ」
軽く興奮しているのが伝わってくる。
紫乃は、歩の方がよほど凄いんだけどなと思いつつ、言った。
「その、先生ってやめない? 歳もそんな変わらないし」
「えっ!?」
歩の足がピタリと止まる。
紫乃もつられて立ち止まり、振り返ると、歩が真剣な顔で訊ねた。
「紫乃先生って、歳いくつ……?」
「今年29。アラサーです」