とあるレンジャーの休日
ぬるま湯のようだった心地よさが、いきなり熱いものに変わった。
さらに深さを増したキスの感触と歩の熱に当てられて、紫乃は自分の身体が思ってもみなかった反応を示すのに驚く。
歩の手が触れた箇所は熱くなり、ゾクゾクと甘い痺れが湧いてきた。
それは、思考も理性も何もかも奪われてしまいそうなほど強烈な波で――
(ダメ、これ以上は……!)
紫乃は再び腕に力を込め、歩の胸をグッと押した。
唇は離れ、彼は驚いた様子で、こちらを見つめる。
「どうしたの? 何か、嫌だった?」
「そうじゃ、なくて……」
紫乃はうつむき、なんと言い訳したらいいか、考えあぐねた。
(言えない。気持ちよすぎて困るだなんて)
彼と一線を越えてしまうのは、怖い。
それは行為に対する恐怖じゃなく、自分の気持ちの問題だ。