とあるレンジャーの休日

 大学を辞めてから今まで、ここが自分の居場所なのだと思い、自分なりに精一杯大事にしてきたつもりだ。
 それを嫌だとか重いだなんて、今まで感じたことはなかったのに。

 でも歩のことを好きになればなるほど、彼と共にいたいと願ってしまう。
 今みたいに四六時中傍にいて、毎日彼の世話を焼いて過ごしたいと思ってしまう。

(そんなこと、無理なのに)

 どんなに彼を好きになっても、恋に溺れて、自分自身と母に誓った約束を破ったりは出来ない。
 それだけは、してはいけない。
 これから、どんなにツラいことになったとしても――

 その時、歩が心配そうな顔をして、こちらを覗き込んだ。

「紫乃、大丈夫?」

 顔を上げ、彼と視線を合わせる。
 綺麗な肌に整った目鼻立ち。

 紫乃はふと、もし自分と別れても、彼ならきっと相手には困らないんだろうなと考えて、急に悲しくなった。

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