とあるレンジャーの休日
混乱の始まり

26

 
 昨夜もあまり眠れなかったようなのに、歩が部屋を元に戻して欲しいと言い出した。
「違う意味で眠りにくい」と呟いていたけれど、紫乃はあまり深く考えずに「そう」と返して、同意する。

 だが、朝になって彼の顔を見たら目の下にクマができていた。
 どうやらまた眠れなくなってしまったらしい。

 紫乃は意を決して、その晩「一緒に寝よう」と提案した。
 歩は目を見開き、慌てて首を横に振る。

「ダメだよ、紫乃。俺もう、我慢できる自信ない」

 紫乃は、ほんのり赤くなった歩の顔をジッと見ながら答えた。

「したいなら……してもいいよ。おじいちゃん帰ってくるの明日だし」

「えっ?」

 紫乃が受け入れるとは思ってもみなかったのか、歩は呆然としている。

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