とあるレンジャーの休日
「ちょっと待って! ダメだって。そういうのはもっと……大事にしたいっていうか」
歩の言葉に、今度は紫乃が目を丸くした。
「そう……じゃあ我慢してね。添い寝はするから」
「は? いや、だから……」
情けない顔になってしまった歩を引っ張り、紫乃は敷布団を和室から再び自分の部屋へ移動する。
「布団は別々ね。そんなに心配しなくても、ちゃんと横になってジッとしてれば、歩はすぐに寝ちゃうよ」
「いや、だって紫乃、もう俺の彼女じゃん」
「それって、なんか違うの?」
「当たり前だろ!」
彼曰く、手を出した時に確実に拒絶されるだろう相手と、受け入れてくれるかもしれない相手では抑止力に大きな差が出るらしい。
――それは、確かにそうかもしれない。