とあるレンジャーの休日

 でも、そんなことを考えてしまう自分が嫌だ。
 彼は死にもの狂いに努力して今の階級まで上りつめたのに。
 空を飛ぶことが好きだと言っていたのに、自分の都合でそれを諦めさせるようなことを望むなんて。

(歩は絶対、今の部隊に帰す)

 自分たちの関係が、これからどうなるのかはわからない。
 遠距離でも案外続くかもしれないし、あっという間にダメになるかもしれない。

 ――それでも、歩を帰さないという選択肢は無しだ。

「ほら、寝よう。そんなひどいクマ作って。また頭も身体も動かなくなっちゃうよ」

「紫乃……」

「歩には、充分大事にしてもらってるよ。だから……そうしたいなら、してもいいの」

 彼は困った顔をして拳をギュッと握り、その場に立ち尽くした。
 葛藤してるのが、その表情からありありと見て取れる。

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