とあるレンジャーの休日




   *



 翌日、清二郎が退院し、家に戻ってきた。

 診断結果は予想していた通り、悪性の胆管腫瘍。
 しかも肝門部で浸潤が深く、手術での全摘は難しいという。
 となると、残された治療手段は化学療法か放射線治療になる。
 でも胆管のがんは切除以外での根治が望めない上に予後が悪い。
 正直、絶望的な状態だった。

 夕方、夜の診療時間前にリビングで話を聞いた紫乃は、ショックを受け、その場に崩れ落ちた。

 一緒に話を聞いていた歩が焦って、紫乃の身体を抱きとめる。
 彼は紫乃と違い、清二郎の話を聞いてもなかなかピンとこない様子だった。
 それでも不安げな顔をして、二人の表情を見比べている。

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