とあるレンジャーの休日
不満を露わにしたら、歩はニッと笑う。
「じゃあ、紫乃。紫乃は、自衛官じゃないんだろ? だったら別にニ歳差くらい、誤差の範囲だよな」
「なにを急に馴れ馴れしくなってんの?」
紫乃が文句を言うと、歩はクククとおかしげに笑った。
「だって、しばらく一つ屋根の下で暮らす訳だし。この方がお互いに気遣わなくていいじゃん」
「いや、あんたは居候なんだから、遣えよ! 気!」
歩は怒られているのに楽しげに笑って、紫乃の手を取る。
「早く帰ろうぜ、紫乃。俺、すごい楽しみなんだけど」
「ちょっと、こら! 手離せ」
――なに、この豹変具合!
この男を引き受けるという選択は、もしかすると早まってしまったのかもしれない。
紫乃は、そんなことを考えながら、同時に、彼の人懐っこさに感心してもいた。