とあるレンジャーの休日

「何が?」

「昨日、手加減しなくて。顔色悪いのは、多分俺のせいだよね」

 紫乃はふと昨夜のことを思い出し、青かった顔をほんの少し赤くしながら、「何バカなこと言ってるの!」と小声で文句を返す。

「今日は何もしないから。また一緒に寝よ」

 そう言われ、紫乃は怒った顔をしたまま、小さく頷いた。



 紫乃は着替えを持って先に風呂を済ませ、一人遅れて夕飯を食べた。
 清二郎は食欲不振が続いているようで、あまり食べなかったと、歩が報告してくれる。

 清二郎は顔中に白い髭をもっさりと生やしているので、顔色がわかりにくいのだ。
 定期的に通院しないのなら、今後は周りが注意深く見ていないと、いつ急変するかわからない。

(まともに動けるのもあと数ヶ月か……)

 紫乃は医師であるが故に、これから清二郎が辿るであろう病状の変化にも、ある程度予測がついてしまう。

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