とあるレンジャーの休日

 出会ってからの時間を考えても、今のこの家の状況からしても。
 紫乃は決して自分のためにここを動こうとはしないだろう。

(でも一応、相談だけしてみる……?)

 可能性だけでも探ってみるべきか――歩はそう考え、朝食と家事の手伝いが終わったら、吾郎のところへ行くことを決めた。

 そうして、まだ眠っている紫乃をそっと抱き寄せる。
 目をつむったまま、自然に額をすり寄せてきた彼女を見て、歩は微笑み、そっと静かに息を吐いた。


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