とあるレンジャーの休日

 歩は吾郎の目をジッと見つめながら尋ねる。

「先生は寂しくないんですか? 奥さんずっといなくて……」

 問われた吾郎は眉根を寄せ、しばらく考え込んでから、歩を見つめ返した。

「結婚したいのか? 紫乃と」
「へっ!?」

 驚きに目を剥く歩を見て、吾郎は首をかしげる。

「なんだ、違うのか?」
「いや、違うっていうか……」

(そうだけど、いいのかな? 口にして)

 結婚どころか、付き合い始めたと言っただけでも、吾郎には殴られるんじゃないかと思っていた。

「いいんですか? 紫乃と結婚しても」
「出来るのか?」

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