とあるレンジャーの休日

「紫乃も、歩でいいからな」

 ふいにそう言われ、紫乃は「いいからな、じゃないでしょ!」と怒鳴る。

 彼は掴んだ手を、なぜか恋人みたいに握って笑った。

「仲良くしよーぜ。なんなら裸くらい、いつでも見せてやるからさ」

「は? 裸って……裸か。それはちょっと……いや、だいぶ検討の余地が……」

 紫乃が真剣な顔で悩み始めるのを見て、歩はブハッと噴き出した。

 つないだ手はそのままに――

 二人は端から見ると、とても楽しそうな様子で歩きながら、紫乃の家に帰った。


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