とあるレンジャーの休日
〝どこにも行かずに、ここで〟
(歩とのことを知っている?)
宗春も地元の人間だ。
ここ最近飛び交っていた噂も、いくつか耳にしているのかもしれない。
「ハルくん、私は……」
「あいつに! ……歩に、紫乃ちゃんを支えられるとは思えない。あの部隊にいる限り、常に危険と隣り合わせじゃないか! 駐屯地だってここから遠く離れてる」
紫乃の言葉を遮って、宗春は懸命に言い募った。
やはり歩の存在に焦って、性急にこんなことを言い出したようだ。
「ハルくん、待って。たしかに今、私は歩と付き合ってる。でも、本当にまだ始まったばっかりなの。そんな先のことなんか何も考えてなくて――」
「でも、あいつは考えてるよ! 紫乃ちゃんを連れて行こうとしてる。じゃなきゃ、吾郎先生が俺にあんなこと……っ」