とあるレンジャーの休日

 紫乃は顔をしかめて、宗春の顔を覗き込んだ。

「父さんが何? ハルくんに何か言ったの?」
「紫乃ちゃんのことは、諦めろって」

 ――吾郎は何か意図があってそんなことを言ったのだろうか?
 それとも単に父として、娘に近付こうとする男を遠ざけようとしただけなのか。

(たぶん、後者だな)

 紫乃はフゥとため息を吐き、宗春の腕をポンポンと叩いた。

「考えすぎだよ、ハルくん。単に気にくわなかっただけじゃない? たとえこんな歳でも、一人娘だしね」
「でも……」
「そもそも私、歩から何も言われてないし。彼をうちで預かったのは、部隊に返すためだよ。だから歩がいずれ居なくなるのも、私がここから動けないのも、お互いに分かってて始めた関係なの」

 宗春は、痛そうに顔を歪めてうつむいた。

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