とあるレンジャーの休日

 居間のソファに腰かけた歩は、ものの五分もしないうち、スイッチが切れたみたいにパタリと倒れ込んで動かなくなった。
 紫乃が驚いて駆け寄ると、医務室のベッドに居たときのように、ぐっすり眠り込んでいる。

「まあ、そうか」

 さすがに、一時間かそこらの仮眠で、全回復する人間はいないだろう。
 紫乃はそう納得して、歩の両足をソファの上に上げてやり、再びキッチンに向かった。




 16時半を回り、祖父の清二郎(せいじろう)が診療から戻ってきた。

 夕飯の支度も済み、ダイニングでお茶を飲んでいた紫乃は、診療所との境のドアが開く音を聞いて立ち上がる。

「ん? なんだこの坊主は」

 居間に入ってくるなり、そこに寝ている歩を見て、清二郎はハリのある大きな声を上げた。
 それを聞いて目を覚ました歩が、寝ぼけ眼のまま、のっそり起き上がる。

 仁王立ちをしている清二郎と目が合い、歩は驚いたのか、慌ててその場に立ち上がった。

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