とあるレンジャーの休日
「おじいちゃん。彼ね、うちでしばらく預かることになった宮園歩くん。空挺レンジャーなんだって」
紫乃は、そう簡潔に説明する。
清二郎はそれを聞いて「ほう」と呟くと、歩の全身をマジマジと眺めた。
「宮園歩です。お世話になります」
ピシッと足を揃えて頭を下げる歩を、清二郎はすぐに気に入ったようだ。
ニコリと笑って「ゆっくりしていけ」と言った。
そのまま部屋に着替えに行った清二郎を見送り、歩はホッと息を吐く。
「あれが、紫乃のじいちゃん? 貫禄あるな」
清二郎は真っ白なヒゲを診療の邪魔にならない程度にモサモサ生やしている。
そして、高齢のわりにガッチリした体格をしていた。
「私、この後おじいちゃんに代わって診療所に行くから。歩は、おじいちゃんと一緒に夕飯食べてね」
そう言ったら、さすがの彼も不安げな表情を浮かべて、紫乃の目を見つめ返した。
――なんだか、留守番を言いつけられた子犬のようだ。