とあるレンジャーの休日
歩はニッコリ笑って立ち上がると、食べ終わった皿を片付け始めた。
手持ち無沙汰になると、それに気付いた清二郎が、こう言った。
「動けるなら、道場に行ってこい。ついでに、吾郎にも飯を食えと言っておけ」
「ごろう……?」
清二郎は玄関とは反対方向のドアを指した。
「紫乃の父親だ。この先の廊下の突き当たりにドアがある。それを開けて通路を進めば道場だ。今の時間は子どもらに合気道を教えてる」
歩は驚き、でもすぐに頷いて、清二郎に教わった通路を進んだ。
診療所兼自宅は、庭を挟んで、その裏の土地に建つ道場と繋がっていた。
通路が終わると、廊下の前にある横開きの木製ドアが半分ほど開いており、畳が見えた。
中からは、子どもたちの高い声と、迫力ある低い怒号が聞こえてくる。
歩は強く興味を惹かれ、躊躇うことなく目の前のドアを開いた。