とあるレンジャーの休日

「ここ、お風呂とトイレ。バスタオルは中の棚にあるから、適当に使って。終わったら洗濯機に放り込んでくれていいから」

 歩は振り返って、こう訊ねる。

「他のも、一緒に洗濯していいの?」

 紫乃はしばし考え込んで言った。

「泥だらけになった隊服とかは別で。あと……歩、水虫は?」

「今は、ない、はず」

「どっち?」

「ないです!」

 紫乃は怪しむように歩の顔をジロジロ見つめ、軽く息を吐いた。

「じゃあ、一緒に洗濯してもいいよ」

 足白癬――いわゆる水虫は、一年中長靴を履きっぱなしである自衛官の職業病の一種だ。
 一度もかかったことのない人はそんなに多くないと思う。
 その代わり、良い薬も対応策も色々あるのだが。

「じゃあ、さっさとお風呂入って。上がったら声掛けてくれる? 私は部屋にいるから」

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