とあるレンジャーの休日

「眠れないの?」

 そう問いかけたら、彼は小さく頷いて言った。

「静か過ぎて……」

 紫乃は、彼が爆睡していた医務室と、居間の様子を思い返し、考え込んだ。

 静寂がダメなのか、それとも夜だから――?
 隊舎では、すぐそばに人の気配があったはずだ。

 眠れるときと、眠れないときの違いがイマイチはっきりせず、紫乃はため息を吐く。

「睡眠導入剤、出そうか?」

 すると、歩の口からは、いやにキッパリした返事が返ってきた。

「いらない」

「なんで」

「部隊に戻れなくなるから――」

 それを聞き、紫乃はすぐに納得して頷いた。

「そうだね。ごめん」

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