とあるレンジャーの休日
「いいから、おいで。そんな座り方してちゃ、眠れるものも眠れなくなるよ」
紫乃がそう言いながら布団をポンポン叩くと、歩は顔を力強く横に振った。
「そんなん、もっと眠れないし!」
抵抗する歩に、紫乃は優しい声で言い聞かせる。
「眠れなくてもいいから、横になって目を閉じなさい。全身の力を抜いて。身体の疲れだけでも取っとくの。今日いっぱい動いたんだから」
歩は「はあ~」と大きなため息を吐くと、あぐらをかいて布団に両手をついた。
「俺、子どもじゃねーし」
「知ってるよ」
紫乃は真面目な顔をして、歩の困った表情を覗き込む。
「本当に歩が部隊に戻りたいなら、ちゃんと眠れる方法を考えなきゃ。私が手助けするから。――そのために、ここに来たんでしょう?」
歩はふと真顔に戻り、紫乃の目をジッと見つめ返す。
紫乃は微笑んで頷くと、今度は軽い調子でこう言った。