とあるレンジャーの休日
「それに、もし私に無理矢理何かしたら、きっとおじいちゃんにはメスで刺されて、父さんには素手でくびり殺されるよ」
「げっ」
歩はリアルにその場面を想像したのか、苦々しい表情を浮かべた。
「だから、それ以外の方法で眠れるように頑張ろう。ほら、横になって。まずは子守歌でも歌ってあげようか」
「紫乃……俺のこと、マジで子どもだと思ってない?」
歩は何かを諦めたのか、おとなしく布団に横になった。
だが、紫乃と同じようにギリギリ端に寄り、真ん中に半分くらいのスペースが空いている。
「それで、眠れる?」
そう訊くと、歩は「どっちにしろ寝れないからいい」と返してきた。
二人とも、身体が半分以上畳の上にはみ出したまま――
紫乃は、なぜかまた楽しくなってきてゴロンと上を向くと、天井を見ながらクスクスと笑った。