とあるレンジャーの休日
06
窓から差し込む月明かりが、ちょうど部屋の真ん中を照らしている。
布団の他には何もないこの部屋で、二人は互いの息づかいを耳にしながら、寝転がったままじっとしていた。
ふと、歩が寝返りを打ち、紫乃の方を向いて訊ねる。
「あのさ、塚本さんって、紫乃の何?」
「……最初の質問が、それ?」
紫乃は塚本の名前を聞き、とても嫌そうな顔をした。
「あの人は、父さんの元部下の元部下。間の人は今、歩の上官なのかな」
「つまり俺の上官が、吾郎先生の元部下で、塚本さんの元上官ってこと?」
「多分ね」
塚本の話から推察すると、そういうことになる。
歩は驚いた顔のまま、思い出したように言った。
「じゃあ、塚本さんは紫乃の所に行く前に、あらかじめ吾郎先生に話をしてたってこと?」
「そりゃあね。さすがに父さんがいいって言わなきゃ、うちで預かるって話にはならないよ」