とあるレンジャーの休日

 だが吾郎は、先ほどおかしなことを言っていた。

『本当に来るとは思わなかったけどな』

――あれは、どういうことだろう?

「なんだ……そっか」

 歩が、なぜかホッとした様子で息を吐く。
 紫乃は不思議に思い、首を傾げた。

「塚本がどうかしたの?」

「ううん。何も」

 声の調子が明るくなっている。
 紫乃は、軽く首をすくめて、今度は自分から問いかけた。

「歩のご両親は、何してる人?」

 彼は紫乃の方を向いたまま、落ち着いた様子で答える。

「うちは二人とも公務員だよ。父さんは役所勤めで、母さんは小学校教師」

「へー、学校の先生かぁ。じゃあ勉強厳しかった?」

「うん……大学行けって、最後まで反対されたな」

――高卒で自衛官になること。

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